ブログ名:スピリチュアブレス 様
禅師峰寺(ぜんじぶじ)は高知県南国市十市3084に所在します。下田川を渡りトンネルを抜けると目の前に小高い山が現れます。標高82mのこの山は、八葉山(はちようざん)と呼ばれています。
海上航路の安全を祈願して建立されたこの寺が禅師峰寺です。「船魂の観音」(ふなだまかんのん)とも呼ばれ、漁師たちから慕われています。
真言宗豊山派の禅師峰寺、正しくは八葉山救聞持院(ぐもんじいん)禅師峰寺と云います。峰山の頂上にあることから地元では峰寺(みねんじさん、みねでら)と呼ばれ親しまれています。四国八十八カ所霊場第三十二番札所。本尊は十一面観世音菩薩です。
それでは禅師峰寺の魅力を見てまいりましょう。
お参りの作法についてはこちらをごらんください。
︎ 四国88箇所霊場お遍路|基礎知識と正しい参拝方法
禅師峰寺の歴史
禅師峰寺の創建は神亀年間(724~729)、聖武天皇の勅命(天皇の命令)によって行基菩薩が土佐湾の海上安全を祈願して開創したといわれています。
行基(668~749)は奈良時代の僧侶です。聖武天皇の帰依を受けて東大寺や国分寺の造営に尽力し、のちに大僧正に任ぜられ、大菩薩の号も賜った偉いお坊さんです。
大同2年空海はここを訪れました。奇岩霊石が立ち並ぶ境内を見て天竺は補陀落山さながらの霊地と感得し、虚空蔵救聞持法の護摩を修法し、自ら彫像した十一面観音菩薩を本尊として祀り、禅師峰寺と命名したといわれています。
参勤交代での航海安全祈願
土佐藩では参勤交代の折、山内一豊以来歴代土佐藩主は必ず禅師峰寺に参拝して道中の航海安全を祈願してから出発したといわれています。浦戸湾は太平洋の外海に面しているために、強風や波浪の影響により、海難事故が多かったようです。
当時は内海である瀬戸内海航路でさえ海難事故は絶えなかったといわれますから、土佐湾沖の航海は大変だったことでしょう。土佐藩の参勤交代は6代藩主以降は北山道と呼ばれる陸路の利用が主流となったようです。
【禅師峰寺の宗派・寺号】
宗派は真言宗豊山派で、総本山は奈良県桜井市の長谷寺です。全国に約3000寺あり、檀信徒はおよそ200万人と言われています。
地元では峰寺(みねんじ、みねじ、みねでら)と呼ばれ親しまれています。道路標識にさえ峰寺と表示され、禅師峰寺と呼ばれることは少ないようです。
境内の不動明王の場所にも峰寺と彫られてありました。
禅師峰寺の見どころ
【十一面観音像】
「十一面観世音菩薩像」の後ろにある石段を、後ろ姿と石仏を見ながら上がって仁王門へ行きます。
【山門(仁王門)】
仁王門には阿吽(あうん)の金剛力士像が二体立っています。鎌倉時代仏師定明によって作られた阿吽の像は、国指定の重要文化財です。阿形は156㎝、吽形は159,5㎝で檜の寄木造りで彩色が施されていましたが、海風により色彩は風化して荒れた状態になったため、現在収納庫で保管されています。
日本には阿吽の呼吸といわれる言葉があります。一方は口を開き怒りの表情を顕し、一方は口を閉じ怒りを内に秘めた表情です。この双方の絶妙なタイミングを阿吽の呼吸と云います。
密教では宇宙のはじめと究極。万物の根源と宇宙が最終的に具現する知徳。悟りを求める菩提心と、到達する涅槃を阿吽と呼んでいます。
仁王門からの石段は、急な上に岩を使っているので気を付けて上がりました。
【不動明王】
山門の脇には不動明王像が厳しい顔付で立っています。その後ろは奇岩がそびえたち、不動明王が一段と迫力あるものに見えます。
【禅師峰寺本堂】
本堂にはご本尊の十一面観音像が祀られています。
芭蕉の句「木がらしに岩吹き尖る杉間かな」の句碑が本堂前の奇岩の間にあります。
【禅師峰寺の大師堂】
本堂に並んで大師堂があります。ここで大師像が拝観できます。
四国八十八カ所の寺の大師堂は空海(弘法大師)が祀られ、遍路の折には本堂とともに参拝する習わしがあります。
大師堂(だいしどう)とは大師号を贈られた僧を祀る堂のことで、全国には空海(弘法大師)を祀る堂のほか、円珍(智証大師)、良源(慈恵大師)を祀る堂があります。
禅師峰寺の御朱印
力強く、流れるような字体がとても素晴らしいですね。
【禅師峰寺奥の院薬師寺】
平安時代末期、平治の乱で敗れた源希義の死を悼んで寺院を興したのがこの奥の院の始まりといわれています。本堂と観音堂があります。禅師峰寺から4,1km離れています。
【寺宝】
鎌倉後期の徳治3年(1308)に作られた梵鐘や、室町時代の永禄13年(1570)の鰐口は高知県指定の文化財です。
【武市半平太の墓】
幕末の志士、武市瑞山(1829~1865)通称半平太の旧宅と墓が寺を下ったところにあります。土佐藩士で土佐勤皇党を組織し、文久3年8月18日政変変更後切腹を命じられています。
【最後に】
山頂からは坂本竜馬の桂浜や♪潮ふく魚が泳ぎよる♪浦戸湾が一望できます。
この景色を見た行基が海上の安全を祈願してここに堂宇を建立した理由が分かるような気がしました。
禅師峰寺はこれからも土佐湾の航路の安全を守っていくことでしょう。
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