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老人になって困ること

さとうみつろう 

おじいちゃんが居た。若いころからフォークしか使ったことが無く、80歳で「おはし」を渡された。老人ホームでおじいちゃんは、使い慣れてないお箸にとても苦戦した。もう一人の、おじいちゃんが居た。若いころから「おはし」を使ってきたので、80になり老人ホームに入っても、そのまま食事を取れた。さて、違う話で。おじいちゃんが居た。若いころから、「暴力」と「威圧的な態度」で周囲の人を使ってきた。80になった。もう、その「やり方」はできないほど筋力が衰えていた。もう一人の、おじいちゃんが居た。若いころから、「優しさ」と「笑顔」で周囲を動かしてきた。80になった。老人ホームで、これまでと同じようにみんなと笑い合った。男性がよく使う「威圧的」という方法。その方法は、80で「使えなく」なる。その瞬間から、「違うやり方」を練習してももう遅い。若いころから、「笑顔」と「優しさ」という「お箸」を使って、奥さんを動かせる、子供を動かせる、自分の部下を動かせる。その「やり方(お箸)」に慣れてる老人は、老人ホームの職員と、上手く付き合っていける。 さて、そう聞くと。「まじだ!今からでも周囲に優しくしよう!」と思うかもしれない。それはイイコトだろう。ただ、こういう考え方もある。最初に出てきたおじいちゃんは、「フォーク」も使って「お箸」も使って、あの世へ行った。次に出てきたおじいちゃんは、「お箸」だけしか、この世で経験できなかった。「経験」。この観点から論ずるなら、若いころに「暴力的」で「威圧的」な方法を使い、周囲を従わせていたおじいちゃんは、その後、老人ホームで「挫折」と「後悔」と、「自分の筋力の低下続きをみる

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掲載元:老人になって困ること
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