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その2:魔術師アルフレードに救われて

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 その人の名はアルフレード・ボネット。パリで8年過ごした後、ロンドンに移住したアルゼンチン出身の芸術家だった。彼は白人ではなく、自分がインディオであると語った。彼が自己紹介を交えながら話す間に、我々はフラットが立ち並ぶ街区の一角にある建物の前に辿り着いた。彼が扉を開け、私たちは狭い階段を五階まで上がった。その先にあったのは、彼の小さな屋根裏部屋だった。

 

 彼は買ったばかりのティーポットでお茶を淹れ、分厚くスライスしたライ麦パンのトーストに蜂蜜をたっぷり塗ってくれた。部屋の窓からは、夕日が空を真っ赤に染める景色が広がっていた。「なんて美しい夕日」と私がつぶやくと、彼は「それなら、その夕日のエネルギーを感じることができるかな? 黙ってそのエネルギーを吸収してみよう」と提案した。

 

 彼は私の向かいにあぐらを組んで座り、静寂を保ち続けた。一時間ほどが経過した頃、周囲は不思議な静けさに包まれた。そして、その静寂の中で、海辺にいるかのような波の音が聞こえ始めた。その音はやがて海浜に座っているかのような、潮の押し寄せる音になり、そのリズムが私の意識を包み込んでいった。

 

 「一体これは何?」とうとう黙っていられなくなった私が彼に問いかけたところ、「静かに、その音だけに集中しなさい」とアルフレードは一言だけ述べた。そして再び、私たちは静かに座り続けた。すると、今度はどこからともなくハエが部屋を飛び交う音が響いた。ブーンというハエの音が、窓際に置かれた観葉植物を囲むように飛び交っている。

 

 「見つめてはダメだ。あなたよりもそのハエのほうが強い。波の音に集中しなさい」と、再び彼から注意された。日が完全に沈み、アルフレードはゆっくりと立ち上がり、ろうそくを灯して私たちの間に置いた。

 

 「さあ、お茶を飲みなさい。でも、あの音に集中したままでね」と彼は言った。

 

 『この人はマジシャンなのだろうか?それともこの特異な形をしたティーポットが何かしているのだろうか?』私は心の中でそう疑問を抱きながら、冷めたお茶を口に含んだ。

 

 それを見たアルフレードは驚きの表情で言った。「そんな風にお茶を飲むなんて、本当にあなたは日本人なの? 手首が曲がり、手がカップに届き、お茶が口元まで運ばれて、そしてお茶が喉を通って体内に入る。その一連の動作を観察しながらお茶を飲まないの?」

 

 『なんて奇妙なことを言う人なのだろう….』と思ったものの、彼の指示通りにもう一度ゆっくりとお茶を飲んでみた。カップを元の場所に戻すと、「今度はキャンドルの光でできた自分の影を見ながら、もう一度お茶を飲んでごらん」と彼は言い、再びお茶を注いでくれた。そこで私は、ろうそくの揺らぎによって生み出された自分の影を見つめながら、指示通りにゆっくりとお茶を口に含んだ。カップを戻そうとしたその瞬間、信じられないようなことが起きた。

 

 その瞬間、私の失われていた記憶が鮮やかに蘇ったのだ。カップを置いたその手が、自分がまだ生まれたばかりだった時の手であり、それが5歳のときの手を思い出させ、今の自分の手と連なっていると感じる。その奇妙な感覚とともに、あの事件以来思い出せなかった、すべての記憶が元通り甦ってきたのだ。

 

 思わず私は両手を広げ、「わあ、私はずっと生きていたんだ。これも同じ私の手!」と叫んで、大きなあくびをした。「何と、私はこれまでずっと眠り続けていたのでしょう? 今、ようやく目覚めました、先生!」

 

 その瞬間、私は過去や未来といった時間の幻想から完全に解き放たれた。おこがましいかもしれないが、完全に覚醒した自分を体験していた。その瞬間、一時的に忘れていた今生の記憶が蘇っただけでなく、今思えば前世の記憶も、まるでカメラのシャッターが下りるようなスピードで次々と頭の中に浮かんでくるのを感じた。そのときの爽快感は、その後も一生忘れることのないものであった。今から思い返すと、それは私の人生で最も覚醒した状態であったことに間違いない。

 

 アルフレードの小さな部屋にある時計を見ると、もう夜中の2時を回っていた。私たちは夕暮れからこの時刻まで、ただ静かに座っていたのだ。「その感覚を保ちつつ、ゆっくり立ち上がってみて」と、彼は私に言った。私たちはハイドパークを静かに歩き、ケンシントンの私のアパートまで約2時間を無言で過ごした。私のアパートに到着すると、「この世界は今までの世界とは違い、内と外が完璧なバランスで存在しているんだ。それは常にそこにあったものだけど、君は今日、その入口を見つけたんだ。そしてそれは君自身が見つけたんだよ。日の暮れという力を借りてね」と、彼は言い残して立ち去った。

 

 その日、私がアルフレードから学んだのはただの序章に過ぎなかった。それから私はロンドンの街で、魔術師アルフレードの元で、様々な魔法を学び続けることとなった。  続く

 

 

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掲載元:その2:魔術師アルフレードに救われて
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