愛知ソニア プロフィール ブログ ピグの部屋
あのときアルフレードと別れてから、私は自宅の床に横たわった。しかしながら、目を閉じることはなかった。私の思考は完全に静止しており、ただ体だけを休息させていた。
このような状態が一週間ほど続いた。夢見ることも思考もない。いわゆる‘サマーディ状態’を、連日にわたり維持することができたのだ。
おそらく人生でいちばん澄み切った経験だった。
不思議なパワーに満ちている自分が感じられた。というよりも、私自身が存在していなかった。ある意味で、自分はすべてだった。その一週間ほどの間に私は、自分の腹に丸い地球を抱えているように感じられるときがあった。私は地球の母なのだ。地球の喜びも悲しみもすべてを抱きしめていた。
すべては自分の責任という深い感覚が何度も私を襲った。そして、まるで落下するかのように、通常の意識状態が戻ってきた。‘サマーディ状態’を追求すれば追求するほど、それは消え去っていった。
まるで自分が堕天使のように感じた。
そんな状態が一か月ほど続いたある時、突然、『ジョン・レノンが殺される』という確信的な言葉が頭をよぎった。
これは大変だ。何とかして、ジョン・レノンに知らせなければならない」という使命感にかられ、私は当時ロンドンにあったビートルズのレコード会社、アップルに警告の手紙を書き送った。彼が実際に命を奪われたのはその9年後だった。
自分自身の人生を振り返ると、あの強烈なサマーディ体験を再現するために、私は長い間スピリチュアルな世界を探求し続けてきたように思える。
私はアルフレードと出会った一か月ほど後にまた彼のアパートを訪ねた。そのときもまた、じっと座って瞑想するようにと指示された。沈黙で座っていると、前回と同じく、部屋の四隅から波が打ち寄せるような音が聞こえ始めた。
「話すな」と、彼はそう言って立ち上がった。私は黙って彼に従い、外へと出た。
「いいかい、その境地を保ちつつ、人間たちを観察しよう。主観を外して、人間を観察するんだ。ホーランドパークに行こう。その前に、目立たないように、透明人間になる方法を教える」と彼は言った。
掲載元:その3:魔術師アルフレードに学ぶ
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