旺季志ずか
私は大阪のおばちゃん 55歳、華子。 この前まで華ちゃん先生と呼ばれる小学校の先生やった。 それがある日、なんか全てに嫌気がさして。 どんだけ一生懸命言っても言うこときかん くそガキや ちょっと子供を叱っただけで文句言ってくるモンスターペアレント。 「子供のために怒ってるんじゃ!!!!」って説明しても親に謝れと言ってきかない校長にブチ切れて仕事を辞めた。 感情にかられて辞めた自由を味わったのは一瞬で 我にかえって落ち込んだ。 私、何にも持ってへん。 仕事ばっかりの人生で自分の子供もおらんどころか伴侶も恋人も何年もおらんねん。 私、どうしたらええねん。 妹に愚痴ったら「お姉ちゃん、何がしたいの?」と訊かれた。 ……わからん。 したいことが何にもない。 心が折れたみたいに何にも感じなくなった。 ずーっと布団にくるまって天井ばっかり見とったら、 そんな私を心配して東京に住む教え子が連絡して来た。 教え子「華ちゃん先生、 会って欲しい人がおるねん」 華「私は会いたい人はおらん」 「先生。会ったら人生変わるから」 「もう人生変わらんでいい。このまま死んでいくねん」 「死ぬ前に一目おうて欲しいねん」 「あんた、宗教でもやってるんちゃうか」 「うん。ちょっとそれに近いかも。 うちなぁ、華ちゃん先生に恩返ししたいねん。この人におうてくれたらその日に死ぬの手伝うからお願い東京に来て」 「いやや」 「お願い」 「いや。なんで大阪から東京までいくねん。だいたい東京の人間は好かん。気取って、「じゃない?」みたいないけすかん言葉つこうて、大阪のおばちゃんバカにしとるやろ」 「会って欲しいのは東京の人間ちゃうで」 「どこの人間や」 「あんころ星からきた、あんころ星人」 「へ?」 私は気の抜けた声を出した。 「華ちゃん、これは絶対シークレットなんやけど会って欲しいのは、宇宙人やねん」 「へ……? あんた、とうとうイかれたんか」 「どう思ってもいい。 人間に宇宙人がウオークインしとるねん」 「ウオークインってなに?」 「人間の体に宇宙人が入ってるねん」 「宇宙人が入るって…… 私の体にも入って欲しい。 そうしたら楽に死ねそうや」 「じゃあ、直接会って頼んでみたら?」 と言うわけで、私は、私の体を宇宙人に差し出し死ぬために渋々東京に向かったのでした。 この人間の体をした宇宙人との出会いが、私を「死」に導き、一度、私は死にました。 そのくらいその宇宙人は、ぶっ飛び続きをみる
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掲載元:「人間にウオークインした宇宙人に会った日」
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